光学機器関連用語 (有)山口商店 2017/07/14  ホーム


このページでは、望遠鏡(双眼鏡や単眼鏡)などの仕様を見る時に参考にしたい用語をご紹介します。


双眼鏡などを購入する場合、どのような用途で使用する時にはどのような機種がいいのか、最低限覚えておくと便利な、選び方のポイントとその用語についてご紹介解説します。

 

 「倍率」 「対物レンズ有効径」 「ひとみ径」 とは

 

双眼鏡を選ぶ際に重要なポイントとなる倍率ですが、一概に 「倍率が高い」 ことが良いとは言えませんので注意しましょう。


【倍率】
対象物をどれだけ近くに(大きく)見られるかを表したものです。
例えば、倍率8倍で200m先にあるものを見た場合、200÷8=25で、25mまで近づいて見た時の大きさで対象物を見ることができます。倍率が20倍であれば、200÷20=10、10mまで近づいた時の大きさで見ることができます。
ただし、倍率が高くなると大きくは見えますが、見えづらくもなります。

例えば「100×50」(100倍、対物レンズ有効径50mm)の双眼鏡の場合・・・・(これはちょっと極端な例ですが)
●きわめて視野が狭くなり、対象物をとらえにくくなります。
●ひとみ径が0.5mmと小さ過ぎるため、非常に暗くなってしまいます。
 人間のひとみは、明るい環境下で絞られても2mmまでです。
 0.5mmでは目に入る光の量が不足してしまいます。
●倍率が高くなればなるほど、手ブレの影響を大きく受け、手持ちでの観察が困難になってしまいます。

暗闇の中では近くのものでもよくわからない。また明るい所では少し離れても確認できる。

手持で双眼鏡を使用する場合、私は10倍が限界かなと思います。それ以上の倍率の場合は三脚に取り付けて固定して使用するのが良いと思います。

 


【対物レンズ有効径】
「対物レンズ有効径」とは、対物レンズ(見る対象側のレンズ)の直径サイズのことを言います。同じ倍率の時、対物レンズ有効径が大きいほ
ど集光力があり、解像度と明るさが向上します。ただしその分、双眼鏡自体も大きく重くなってしまいます。

≪大きさによる分け方≫
25mm以下 : コンパクトな双眼鏡
30mm〜49mm : 本格的な双眼鏡
50mm以上 : 天体観察、業務用など

 


【ひとみ径】
「接眼レンズ」によってできる「対物レンズ」の像の直径のことを言います。30cmほど離して接眼レンズ面を見ると、小さな明るい円が見えるでしょう。この直径が大きいほど視界が明るくなり、特に早朝や夕方の野鳥観察や天体観測時などにその威力を発揮します。

 

ひとみ径 = 対物レンズの有効径 ÷ 倍率

例として

8×42の双眼鏡の場合、

「 42 ÷ 8 = 5.3 」ということからひとみ径は5.3mmとなり、

これは像の明るさを表す目安となります。


暗い環境と双眼鏡のひとみ径の関係
人のひとみの大きさは、周囲が暗くなればなるほど、より多くの光を吸収して視界を高めようと大きくなります。でもその時、のぞいている双眼鏡のひとみ径が小さいと、視界は暗いままになってしまいます。

 

明るい環境

暗い環境

 

暗い環境の場合 ( 8×20 と 7×50 の双眼鏡で比べると )

8×20 の双眼鏡では
暗い場所における人のひとみ約7mmに対して双眼鏡のひとみ径が2.5mmと小さいため淡い光が見えにくく感じます。( 20 ÷ 8 = 2.5mm )


7×50 の双眼鏡では
人のひとみと双眼鏡のひとみ径がほば同じ大きさになるので、淡い光でも見やすく感じます。( 50 ÷ 7 = 7.1mm )


 「実視界」 「見掛視界」  とは

 

すばやく激しい動きの多い野鳥観察やスポーツ観戦などには、実視界の広いものを選ぶことがポイントです。

 

 


【実視界】
双眼鏡やフィールドスコープを動かさずに見られる範囲を、角度で表したものです。実視界が広いほど、一度に見られる範囲が広がるので、動きの多い対象物を見るのに適しています。


【見掛視界】
双眼鏡をのぞいた際に、視野がどの程度開けているのかを角度で示しています。
見掛視界が広いと高倍率でもよりー層の臨場感が味わえます。

従来、見掛視界は 「 実視界 × 倍率 」 の計算式により算出されてきた。

JIS規格による計算式 JIS規格 B7157:2003 による表記のしかたもある。

 

JIS規格による計算式

 

倍率8倍、実視界7.0度の双眼鏡の見掛視界

 

 「1000m先視界」  とは


双眼鏡やフィールドスコープを動かさずに見られる、1000m先の範囲をメートルで表したものです。視界の広さを表します。

 

「 8×42 7.0°」 の双眼鏡の場合

1000m先視界 = 2 × 1000 × tan( 7.0 ÷ 2 ) = 122m

 

 「プリズムの材質」  とは

 

BK7

一般タイプのプリズム材料です。

BaK4

光学性能の優れた高級プリズム材料。隅々までカゲリのないシャープな像を得ることができます。

SK15

光学性能のきわめて優れた最高級プリズム材料。屈折率はBaK4よりも高く、よりー層隅々までカゲリのない、シャープで鮮明な像を得られます。

 

 「プリズムのタイプ」  とは


プリズムには、ダハプリズムタイプとポロプリズムタイプの2種類があります。
ダハタイプ

接眼レンズと対物レンズが直線的な位置関係にあるのがダハタイプ。

ポロタイプ
接眼レンズよりも対物レンズの方が幅広になっているのがポロタイプです。

 

 「至近距離」  とは

 

対象物へのピントが合う最短距離のこと。
(個人の視力によって若干の差異が生じます)
 

 「明るさ」  とは

 

ひとみ径を2乗した数値を 「明るさ」 として表現しています。
この数値が大きいほど像が明るく見え、夕方や夜間の使用にも適します。

 「眼幅」  とは

 

左右の目(左右の瞳孔の間)の幅に合わせて、双眼鏡の光軸を調整できる範囲のこと。
双眼鏡を中心軸から曲げる、あるいはスライドさせることで、目の幅と接眼レンズの幅を一致させます。

 


 

   

        

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掲載:2016/07/14